子供が実家にお泊まりして1日だけ家を空けるこの日、子供同伴不可のレストランを訪れるのが年に一度の夫婦のお楽しみだ。
JCBのザ・クラスを所有していれば”グルメベネフィット”という1名分の食事代が無料になるという特典があるためその対象店から選ぶことにする。
今年のお楽しみとして選んだのは、青山にある「リストランテ・ヒロ」、イタリアンの有名店だ。全席禁煙であることも今回選んだポイントの一つだ、年に一度のせっかくのディナーがタバコの煙で台無しになることはなんとしても避けたいからだ。今回も去年と同様にJCBのコンシェルジュさんにお願いして予約をお願いした。
希望の日付と時間、席に対するリクエストをお願いするとほぼ満点の回答が帰ってきた。さすがJCBのコンシェルジュは毎度ながら手際が良い。
ここはスマートカジュアルのドレスコードがあるお店なので、奥さんはワンピース、私は襟付きシャツとジャケットでしっかりと服装を整えて予約時間ちょうどに到着。小さな再開発エリアの入り口地下に店舗はあるようだ。
荷物をクロークに預けて席に案内されると、まずは飲み物のチョイス。我が家は二人とも飲めないため料理に合う美味しいソフトドリンクがあるかか聞いたところ、世界各地のソフトドリンクからいくつか提案されたのでブドウジュースをお願いする。
ワイングラスに注がれてきたブドウジュースは、まるでワインのようにほのかな香りがする。まずは一口だけ口の中に入れてみると、まろやかなブドウが口の中へスッと入り込んできた。これは美味い。
飲み物を楽しんでいると、今日のメインディッシュで使用される熟成肉の塊が運ばれてきた。赤ん坊二人分ぐらいの大きな塊だ。
肉の周辺には白カビがしっかりと生えていて、普段知っている肉の色とは全く異なっている。
(画像はこちらからの借り物)
この白カビが悪いカビを食べてくれるので安全なのだそうだ。0度前後に維持された熟成庫で一ヶ月近く寝かせた上でこちらに出されてくるとのこと。
肉の他にも野菜が紹介された。高知産のフルーツトマト、淡路産の新タマネギ、フランス産のアスパラガス。しかもアスパラガスは硬水で育てられているため日本のアスパラガスとは太さが違う。見た感じで4倍はあったと思う。
と、ここまでまだ料理は全く出てきていないが材料の説明を受けているだけで気分がかなり盛り上がってきた。まずは目で楽しませてくれるのは流石だ。
前菜
最初に前菜の盛り合わせが運ばれてきた。少量ずつ5種類もあるので嬉しくなってくる。
内容は
- 鯖のサンドイッチ
- フルーツトマトとチーズのカプレーゼ
- 北海道産のウニと新タマネギ
- キャビアとカブのパンナコッタ
- オマール海老のクロケッタ
説明を聞いたのだが間違っていたらご容赦。いずれの料理も見た目と味が自分が今までイメージしてきた味と異なるので面白い。しかも素材の味が最高に引き出されているので、野菜ってここまで美味かったのかと思い知らされる。
温野菜
最初に紹介された野菜の中からアスパラガスが生ハムと共にミモザ風で登場だ。男性の親指以上の太さがあるのにしっかりと焼き上がっている。さらにナイフで切るとじゅわっと水分が溢れてくる瑞々しさだ。
パン
そうそう、パンの話もしなければ。
この写真はチャパタ、こちらの店舗で焼き上げているので出来たてだ。この他にフォカッチャもあるのだが写真を忘れてしまった。焼き上がりと共に各テーブルへオーブンから取り出されたばかりの直径40センチはある大きなフォカッチャが「これを各テーブルへ切りわけます」と回ってきたのには驚いた。
魚料理
そして魚料理。桜鱒のポワレと山菜の組み合わせだ。
魚の表面に見えるのは衣に見えるが、実は鱗だ。鱗を食べるなんて聞いたことがなかったのだけれど、サクサクとした食感で美味い。鱗も調理方法次第ではこんなに美味く食べられるなんて驚いた。
そういえば店内に薪を焼く香ばしい香りが漂っている。薪を使って焼くと、炭の遠赤外線で中までじっくり焼くのとは異なり、近赤外線で一気に外側だけ焼くことが出来るのだそうだ。
ちなみに、薪を使用するのは結構大変で建築基準法に基づき煙突を設置しなければならないので、建物を建てる段階からしっかりと考慮されていなければならないようだ。
肉料理
閑話休題
さて、その薪で焼いたブラック アンド ブルーという外側をガッツリ内側はレアで焼く焼き方で提供される。一体どのような状態なのかは下の写真を見て貰えれば一目瞭然だ。
外側ほんの数mmだけがしっかりと焼かれているが、1cmもすれば赤みがほとんど残っている。これが薪のもつ近赤外線の力と、シェフの焼き加減の妙がコラボした結果なのだろう。
折角の肉なのに良い写真がなくて恐縮だ、左の付け合わせは丸ごと2時間薪のオーブンで焼き上げたタマネギだ。そして右側が先ほどの30日間熟成肉の栃木産国産牛ロースの”薪焼き”。これを皿の手前にある塩とコショウで食べた瞬間、今まで味わったことのない肉の旨味が口の中に広がった。
肉の外側をかみ切るまでは歯ごたえが有るのだが、そこを過ぎるとスッと噛み進められるという面白い食感。熟成肉の奥深い味を楽しむにもこの焼き方は最高だ。
パスタ料理
ここまで来るとお腹もかなり良い感じだ。通常であればパスタは肉料理の前に出てくる物だけれど、リストランテ・ヒロでは肉料理を楽しめるように後から出しているとのことだ。
量もお腹の空き加減に合わせて調整してくれる。私は中〜大の真ん中ぐらいとお願いしたら、まさに絶妙な分量で運ばれてきた。
たっぷりのオリーブオイルにシラスとカラスミがこれでもかと混ぜられている。しっかりとした味付けでかなり私好み。ランチで良いからこのパスタを食べに来たいぐらいだ。
デザート
パスタで満腹になったところでデザートタイムだ。最初に運ばれてきたのは大きなボウルに入った苺の紅ほっぺと砂糖だ。
何をするのだろう??と疑問に思っていると、更に・・・
なんと、液体窒素が運ばれてきた!!
苺と液体窒素を勢いよく混ぜ合わせて完成したのは・・・
なんと、苺のシャーベットが完成!
普通のシャーベットと違ってマイナス196度で一気に急速冷凍されたので、細胞が壊れず新鮮なままのシャキシャキした食感が楽しめる。このシャーベットの美味いこと!!これは感動せざるを得ない味だった。
プティフール
もう入るお腹は無いと思っているところに、食後のハーブティーと共にプティフールが運ばれてきた。
こちらの写真は二人分。チョコやプリンをはじめ、名古屋コーチンの卵を使ったロールケーキなど最後まで贅の極みだ。
これで全てのコースが出揃った。料理の演出も計算され尽くされていて、非常に至福、幸せいっぱいの2時間半を過ごすことが出来た。
お値段は?
メニューは基本的におまかせコースのみ。今回グルメベネフィットで利用したのも「Cena(チェーナ)」という¥15,000(税・サービス料別)のおまかせコースでドリンクは別会計となる。最初に注文したブドウジュースは一人1,200円だったのでアルコールを飲む人はもう少し掛かるだろうから財布との相談を忘れずに。
貧乏くさい話で恐縮だが、ソフトドリンクを飲み干したのでガス入りの水をお願いしたらサンペレグリノが注がれた。会計の際に気がついたのだが夫婦二人で1,000円と有料だったので飲まない人もご注意(?)を。
といっても、そんな値段など気にならないぐらい幸福で至福のひとときを過ごせたので、是非また夫婦で訪れようと思う。
リストランテ・ヒロ 青山本店 (イタリアン / 表参道駅、外苑前駅、明治神宮前駅)
夜総合点★★★★☆ 4.5
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